日本特有の休めない雰囲気の正体を探る

日本は働き方改革や労働者の声も相まって、昔に比べて有給休暇は取得すべきものという認識になってきている。実際、大手旅行会社が世界16ヵ国で行った調査によれば、日本は6年ぶりに有給休暇を取得する面で改善がみられたという。とはいえ、厚生労働省の調査によれば、令和4年時点で日本における有給休暇の取得率は全体の約56%程度に過ぎない。半数近くの社員が、有給休暇を取得できていないのだ。

日本の有給休暇の取得率が低い背景として挙られるのが「我慢や勤勉が日本人にとっての美徳である」という部分だ。「休みなく働くことこそ正義だ」と考える人は未だに存在する。上司や経営者がそのような考えを持っていると、当然ながら社員は有給休暇を申請しにくい。

また、日本特有の「同調圧力」も大きく関係しているだろう。元来より日本人は協力・協調を大切にする国民性があり、自分だけ休むことに罪悪感を覚える人が多い。背景には軍国主義、教育の影響があると言われている。幼い頃から、みんなと一緒に椅子に座り、同じことを学び、同じように動くことを要求されるため、自分だけ他者と違う行動を取ることができない人が多いのだ。たとえ表立って「休みを取るな」と言われなくても、多くの人が周囲の視線、雰囲気が気になり、有休休暇を申請することを控える傾向にある。

そして、会社によっては上司が許可を出さないケースもある。特に繁忙期になると休みを却下される場合がある。有休は労働者として当然の権利ではあるが、繁盛期などの空気を読まずに休むと、周囲にしわ寄せがきて迷惑をかけてしまうため、あまり良い顔はされない。ただ、もし正当な理由がないのに休みを取得させないなら、それは単なるパワハラであるため、然るべき対応を取った方が良いだろう。