日本で有給休暇が取りにくい背景

他の先進国と比較し、日本の有給休暇取得率は低い。労働者の当然の権利なのに、なぜ有給休暇を取りづらいのだろうか。有給休暇を取りづらい背景は、上司や経営者の考え方が影響しているように思う。

ある会社が、職場で上司や同僚が有休を取得したときにどう感じるか調査したデータを見つけた。「どんどん有休を取得した方がいい」と答える人が約35%で一番多かった。「うらやましい」「自分も有給休暇を取りたい」と答えた人も多い。ところが、管理職の立場である人に部下が有給休暇を申請したら、どう感じるか聞いたところ「イライラする」「怠慢だ」と答える人もいたそうだ。特に「繁忙期に有休をと取られるとイライラする」と答える人が目立った。

上司のこのような考え方は、職場に大きな影響を及ぼしているといえる。有給休暇を申請しても、上司が渋々、あるいは見るからにイライラしながら許可、あるいは許可しないなら、職場には有給休暇を申請しにくい雰囲気が漂うことになる。

確かに、「繁忙期は避けて欲しい」「この時期はずらしてほしい」など、上司にも言い分はあるかもしれない。だが、理由もなくただ「部下が有給休暇を取ることにイライラする」人も一定数いる実情もある。これは、上司が過去に受けてきた教育、働いてきた背景が原因であろう。

日本は「右ならえ」の精神で、皆と同じことをすることが良しとされている。特に昭和はその傾向が強かった。そのため、自分だけ有給休暇を取得すると「職場の和を乱す」「みんな働いているのに自分だけ休むとは何事だ」となるのだ。このような見方をする風潮が残っている限り、休みづらさは変わらないだろう。

実際、他の国では長期休暇として1ヶ月の長期休暇を取ることができるのに対し、日本でそんな長期休暇は不可能に近い。1日2日の有給休暇すら取りにくい状況であれば、なおさらだろう。休みたい時に一切休むことができないのは、人生の楽しみを奪われているのと同じではないかと思う。

働き方を根本的に変えたいなら、働く私たちがもっと声を挙げていく必要があるだろう。本記事で語ったような内容に関心がある人は、ぜひ日本における長期休暇の現状を深掘りしてみると良い。